第14章 【番外編】マツノトクエスト　第十三章

「みん、な……だよ」

　トド松の顔を見て何か思い出してくれないかなぁという甘い事を想いながら、真剣な口調でそう言ってしまった。

「うん、みんなって？」

「ぱ、ぱぱぱぱぱ、パーティのみ、みんな！　ト、トド松、も！！」

　言ってしまった、もう否定されても言ってしまったら仕方ないけど言わずにはいられなかった。

「ぼくも？！　……え、って事は、ぼくは誰かに呪いをかけられてナス子の事を忘れちゃってるって事？　他の皆も？」

　最早返ってくる言葉が怖くて返事が出来ないネガティブでマイナス思考なダメな私は、こくりと頷くだけしてみる。
　私の事だけでなく兄達の事や他の事もいっぱい含むんだけどね。

「…………っ、そっっっっかぁ～……」

「いきなりビックリした？」

「んー……いや、なんだろう？　ビックリはしたけど何か変な感じはあったんだよね、ぼく自身も」

　思っていた事と違う返答が返ってきた事に私は目を丸くしてしまうのだが、変な感じとはなんなのか気になる。

「だってさ、おかしいんだよ。ぼく、トト子様の下に仕えてはいたんだけどその前の記憶が一切ないの！！　思い出そうとしても砂嵐みたいにザーって感じで途切れてるっていうのかな」

「え、そうなの？！」

「うん、だから、ナス子の言ってる事もあながち嘘じゃないのかなって思ってさ」

　傍から見れば、女子同士のお喋りにも見えるが、会話は二人共至って真剣である。

「ねぇ、試してみない？　試すだけならタダだしさ」

「えっ、で、でも、それって」

「そう、キスしてみるの！　別に恋愛感情がお互いある訳でもないし、今はぼくの恰好も恰好だし恥ずかしくないでしょ？　ね？」