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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第2章 生い立ち


私が生まれたのは、1870年代後半。
特別裕福でもなく、貧困でもない、ごく普通の家庭に生まれた。
共に暮らしていたのは、両親と妹、そして、伯母夫婦とその娘だった。
伯母は金遣いが荒かった。妹である私の母に借金をしていたくらいだという。
11月のある日、その伯母が数日経っても帰ってこないということがあった。
一日帰ってこないなんて日はよくあったが、続けて何日も帰らないのは珍しいことだった。
何か事件に巻き込まれたのかもしれないと、捜索願いを出して捜し回ったが、私達の前に現れた伯母は、既に遺体となっていた。
損傷が酷く、私や妹、伯母の娘といった子どもは、遺体を見ることを許してもらえなかった。

伯母以外にも、同一人物の犯行であるとされている殺人事件が複数起きていた。
被害者にはある共通点があり、それを知った伯父は憤慨した。

「中絶手術を受けていただと? 一体それは、誰との子だったんだ!」

断じて自分の子ではないという伯父は、妻の不倫相手を捜した。
どういう手を使ったのか詳しくは知らないが、数日後には一人の男を引っ張り上げていた。
この男との不倫がなければ、妻が死ぬことはなかったと訴え、多額の賠償請求をした。
生活に困っていた男は、そんな金額は払えないと嘆願した。
伯母はこの男に金銭的な援助をしていたという。金遣いが荒かったのはこのせいだった。
それを知った伯父は、ならば尚更支払うべきだと追及した。

それから数日が経ったある日、帰宅した私が目にしたのは、家の周りを固めているスコットランドヤードの集団だった。
何事かと問うと、家にいた全員が殺害されていたとのことだった。
ヤードを押し退け、家の中に入ると、そこは血の海だった。
人の死臭を初めて嗅いだ。胃の中のものを全て戻した。
意識が遠のく中、私はヤードの一人に保護された。

犯人は伯母の不倫相手の男だった。私の家族を刃物で刺し殺した後に、自らもその場で喉を切って死んだという。
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