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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第6章 真実への扉


シャワーを浴び、バスルームから出て服を着直す。
だいぶ酔いも覚めてきていた。
暖炉の上の置き時計は、午前0時過ぎを指している。
酔いが覚めてきた代わりに、今度は眠気がやってきた。
しかし熟睡してしまっては、ロナルドが戻って来たときに、ノックに気付かず閉め出しを食らわせてしまう可能性がある。
いっそ鍵を開けたまま少し眠るか。
そうも考えたが、そんな不用心なことをしてはきっと後からロナルドに叱られる。
靴を脱いでベッドに座った。
湯冷めして、部屋の寒さが辛くなってきた。
眠ってしまわないようにベッドには横たわらず、毛布で体を包んだ。



遠くの方で、扉を叩く音が聞こえる。
間隔をあけて何度か叩いている。
……ここは、どこだっけ。
ハッと飛び上がった。座った姿勢のまま、眠ってしまっていた。
ベッドから降り、急いで扉を開ける。

「ご、ごめんなさい!」
「おいおい。確認もしないで開けるなんて、俺じゃなかったらどうするんだよ」
「あ……ごめんなさい」
「謝ってばっか。何事もなかった?」
「うん。ちょっと、寝ちゃってた……」
「全然OK。起こして悪かったな」

そう言ってロナルドは部屋に入ってきた。

「寒っ。暖炉つけなかったのかよ」
「使い方、わからない」
「マジ?」
「ワークハウスで使ってた部屋には暖炉なんてなかったから。寒いの慣れてるし」

呆れているとも、困っているとも取れる表情を浮かべたロナルドは、持っていたコートを置き、ジャケットも脱いで、暖炉に近付いた。
慣れた手つきで暖炉に火をつけていく。

「……暖かい」
「だろ? この方がよく眠れるからさ」

ロナルドは立ち上がり、バスルームの方へ向かった。

「俺のことは気にせず、ベッド使って寝てて良いよ。ちょっとシャワー浴びてくる」

そう言ってバスルームに入っていく彼を見届け、私は再びベッドの上に座った。
静かな部屋に、暖炉の火の音と、シャワーの音だけが聞こえる。
緊張してしまって、眠るどころではなくなっていた。
そもそも、私が一人でベッドを使ってしまったら、彼は一体どこで寝るというのか。
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