• テキストサイズ

【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第4章 遭遇


翌日、午後になると、エマがある物を部屋に持ってきた。

「何、これ」
「社交界で着るのよ」

それは、シャンパンゴールドの、腰から下がふわりと広がったドレスだった。
エマはベッドにドレスを広げて置いた。

「この靴も一緒にね」
「ちょっと待って!」

着々と準備を進めていくエマを制止した。

「だから、何よこれ」
「クロエが着るのよ」
「どうして」
「社交界に行くからよ」

話が元に戻ってしまった。

「だから、どうして私なんかが社交界に?」
「ロナルドが乗り込むの。そこにクロエもついて行くのよ」

ようやく話が進んだ。

「それにしても本当にロナルドは、クロエと会ってからガラッと変わったわね」
「そうなの?」
「だって、担当地区でもなければ、魂の審査を依頼されているわけでもないのに、乗り込み調査を買って出るなんて」
「どういうこと」
「彼、昔から残業とか、自分に割り当てられた仕事以外は絶対にやりたがらないタイプだったのよ」

以前、残業しない主義だと言っていたのを思い出した。

「こちらも人手不足だから、今回はかなり助かってるわ。クロエのお陰ね!」
「私は何も」
「そんなことないわよ! ワタシだって毎日楽しいし」

ドレスの手入れをしながら話していたエマは、その手を止め、私の方へくるりと向き直った。

「さて、着てみましょうか」

私はエマに言われるまま、着替えることとなった。
エマの手を借りながらドレスと靴を身に付けていく。

「やっぱり、ピッタリだったわね!」
「サイズは良いけど……似合ってるのかな」
「似合ってるわ、とっても可愛い! でも、ワタシがもっと可愛くしてあげる」

エマは私を椅子に座らせ、その背後に立つと、私の髪を整え始めた。
頭の高い所で器用にまとめ上げ、最後にオレンジ色と黄色のマリーゴールドの髪飾りを付ける。
私は再び椅子から立ち上がり、エマは私のその姿を輝いた表情で見つめた。

「良い良い! 思った通りね! だけど可愛くし過ぎたかしら。これじゃあ殿方が放っておくはずないわ」
「それは言い過ぎじゃないかな」
「ううん! そんなことないわよ。折角のパーティだし、クロエには楽しんで来て欲しいけど、あんまりロナルドを嫉妬させ過ぎないようにね!」

そう言って笑うエマは、とても嬉しそうだった。
/ 80ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp