第1章 憂鬱王子はキスをくれない.

「 じゃあ私は外に居るから着替えてね 」

手渡されたのはやはりメイド服であった
やっぱり私もこれ着なきゃいけないんだ
渋々メイド服を着ながら深い溜息が漏れた
これは腹をくくるしかない、我慢だ我慢。
悲しくなるから敢えて鏡は見ない事にした

「 お待たせしました … 着替えてました 」

「 美雨ちゃん似合ってるよ！可愛い！ 」

そんな分かりやすいお世辞は言わないでくれ
心の中で陽葵ちゃんに対しつっこみながら
私達は階段を降りてリビングルームに向かう

「 あ！これ渡しておくから目を通してね
これは住人全員分のプロフィールブックだよ
名前や誕生日なんかの基本的な情報だったり
個人別で性格や特徴が記載されているから
頭に入れておくと仕事やりやすいと思うよ！
ちなみにご本人達には見られない様にね！ 」

プロフィールブックは陽葵ちゃんの手作りで
住人のみなさんは存在自体を知らないそうだ
事細かく癖や特徴が書かれているそうで
ご本人に見られると何やらまずいんだとか

プロフィールブックをゆっくり開いてみると
写真と細かい情報が丁寧に書き連ねてあった
最初のページは見るからに体格の良さそうな
笑顔が優しそうな男性の写真が載っていた。

澤村 大地（ さわむら だいち ）
部屋番号 : ０１ 東
Ｄｉｎｉｎｇ ｂａｒ Ｃｒｏｗ 勤務
休日は週２回 平日 帰宅時間はバラバラ
誕生日：１２月３１日
好物 : 醤油ラーメン

実直で温和な性格だが怒ると非常に怖い
住人の事を大切に考えてくれているので
他の住人からの信頼は非常に厚い。
誰に対しても穏やかに接するタイプである
黒尾くんから「 喰えない奴 」思われている。
澤村くんは男らしい人だけど女心に疎く鈍感
責任感が強くリーダシップに優れている
お風呂は湯船に浸かりちゃんと疲れをとる派

お父さんみたいなタイプの人なのかな？
私は真面目で温厚そうなイメージを持った
旦那さんにしたいタイプの男性かもなあ