第18章 スターチス【切島鋭児郎/切甘】
次の日、トイレの前でまた楓と会った
「楓また来たんだな」
『鋭ちゃん!?久しぶり!つか、鋭ちゃんその怪我どうしたの!?』
「…?久しぶりって、昨日も売店前であっただろ?」
『え?そうだったっけ?』
「あぁ」
『いや〜ごめんごめんっ!』
「この階にいるって事はお前が見舞いに行ってる相手もここの階なのか?」
『…見舞い?何のこと?』
「いや、昨日お前と話した時に誰かの見舞いの帰りか?って聞いたらまぁそんなとこって答えてたじゃねぇか」
『そうだっけ?』
なんか今日は、楓との会話が噛み合わねぇな…
まるで昨日のこと覚えてないみたいに。
楓と再会して11日が経った。
楓とはその後も病院のトイレ、売店、エレベーターなど毎日どこかですれ違うたび声をかけた。
再会した日の次の日みたいに会話が噛み合わないことが二回あった。
再会して12日目…
『鋭ちゃん!具合どう?』
ベットの上で腹筋してると楓が俺の病室まで見舞いに来てくれた。
『…ってえええええ!?なんで筋トレしてるの!?』
「おー楓…ふぐぐぅ…見ての通り…絶好調だ!
っと…寝てばっかで身体なまってるからな!腹筋50回くらいから初めてみようと思ってな」
そう言って腹筋を続けようとするも、傷口開いちゃうからやめときなよ〜と言って止められる。
『ゼリー買ってきたよ、一緒に食べよう』
楓は持っていたレジ袋の中からみかんと桃のフルーツゼリーを取り出す。
俺は桃のゼリーをもらって食べる
「うめぇ!このシリーズのゼリー今あんま売ってねぇんだよな」
俺が懐かしい味する〜って言って食べてると楓がクスクス笑いだした。
『鋭ちゃんその桃ゼリー好きだったもんね〜』
「覚えててくれたのか!?」
『えへへ〜あたしもこれ好きだからね!』
そう言ってみかんゼリーを一口食べる。
「…なぁ楓」
『ん、なぁに?』
「あの、俺…俺っ…」
あぁ、クソ!緊張するっ!けど、ここで言えなきゃ俺
漢じゃねぇぞ!!
「……俺、楓が好きだ!付き合ってくれ!!」
『鋭ちゃんっ…わ、私も…鋭ちゃんが好きっ!』
こうして俺たちは付き合う事になった。