第18章 スターチス【切島鋭児郎/切甘】
死穢八斎會との死闘が終わり、負傷した俺は1ヶ月入院する事になった。
入院生活3日目、初日より少し痛みが引いて無理すれば動けるくらいには回復した。
喉が渇いたから売店まで歩いてスポドリを買う。
そのついでに、ジャンプを買って病室に戻る途中…
目の前を通った女の子が、落とした財布を拾ってそれを彼女に手渡した。
「あの、これ落としましたよ!」
振り返った女の子はありがとうございますと言って俺から財布を受け取る。俺はその子にすごく見覚えがあった。
「…楓?」
『鋭ちゃん…?』
高橋楓
俺の幼馴染で小学生の頃仲良くしてたけど、中学の時に親の転勤で他県に引っ越した俺の初恋の人であり今でも想い続けてる相手だ
「久しぶりだな!」
『鋭ちゃん!?久しぶり!つか、鋭ちゃんその怪我どうしたの!?』
俺の全身に巻かれた包帯を見て心配そうに大丈夫?なんて言ってくれる楓
「あぁ、コレか?まぁいろいろあってな…今ここで入院してんだ。お前は?誰かの見舞いの帰りか?」
『……うん、まぁそんなとこ』
「そか、気をつけて帰れよ」
『うん、ありがとう。お大事にね』
そう言ってその日は楓と別れた。
まさか、ここで楓と会えるなんて思ってなかったな
なんか綺麗になったな、アイツ…