第4章 ブロック④
きっとそれは紛れもない天童くんの本音だろうと思った。それなら私のことは好き、なのだろうか。彼の中で気持ちの整理をした結果、私を選んでくれたということでいいんだろうか。
「…噂の牛若が好きになる女の子なんて気になるじゃん。実際見たら可愛いし。それがトントン拍子に上手くいって俺と付き合ってくれたんだけど。なつみちゃんは面白いくらいに俺のことなんて見てなかったヨ。そんぐらい好きになれるって羨ましいなーって思うくらい」
周りから見たら、天童くんと緑川は普通に仲良さそうに付き合っているように見えたけれど、本人達にはそんな葛藤があったんだな。緑川はずっと牛島くんが好きで、牛島くんも緑川が好きで……………ん?なんで二人はもっと早く付き合わなかったんだろう。
「…でしょ?そこ気になるでしょ」
エスパーのように私の考えてることを読み取った天童くんは、クスクスと笑っている。
「はるか先輩、ほんと面白い。そゆとこ好きなんだよね」
「なっ…!す、好きって……」
「……はあー…なんで俺、こんなイモみたいな先輩好きになってんだろ」
「…先輩に向かって失礼すぎだろ」
好きな男に好きと言ってもらえたのに全然嬉しくない。でもこれが天童くんだ。こういうひねくれてて気分屋なところも含めて彼が好きなんだ。最近学校で見掛けるくらいしかなかったから、こんなに近くで彼と一緒に話ができていることがすごく嬉しくてたまらない。
「てか、はるか先輩にLINE聞こうと思って合宿の時呼び出したのになんで来なかったの?」
呼び出し…とは?
そんなもの受けた記憶ないんだけど。
「…あー……いいのいいの。諸越ちゃんが忘れただけだろうから」
「諸越に頼んじゃダメでしょ」
二人でプッと吹き出した。そうそう。諸越は雑用が嫌いで、他人から頼まれたことも大体忘れてるか放置してしまう困った後輩だ。
「…ねえ、はるか先輩」
急に真面目な顔になった天童くんは、私の目をジッと見つめる。
「俺、先輩とこうなる前に先に抱いちゃったこと、謝らないよ。だってちゃんと好きって思ったから抱いたんだもん」