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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第10章 【許されざる呪文】


「――クリス、君は『許されざる呪文』と言うのを知っているかい?」

 ルーピン先生は努めて優しく、宥める様にクリスに訊いた。クリスはそれに対して大きく首を振って否定した。するとルーピン先生は穏やかに、だけど真剣なまなざしでクリスに説いた。

「それはね、クリス。魔法界では決して使ってはいけないとされる3つの呪文の事を指すんだ。1つは『服従の呪文』もう1つは『磔の呪文』そして最後は『死の呪文』だ。これを使うと、間違いなくアズカバンで終身刑になる程の呪文なんだ。――真剣に聞いてくれるかい、クリス。あの時君のボガートが使おうとしていたのは、紛れもなく『死の呪文』なんだよ」

 それを聞いて、クリスは恐怖が体を蹂躙し、頭の中は真っ暗になり、目の前の先生の顔が涙でぼやけて見えた。しかしクリスはグッと涙をこらえて先生に訴えた。

「先生、私『死の呪文』なんて知りません!確かに家は――父は『例のあの人』の手下だったかもしれません。だけどそれは母と私を守るためだったんです!1年生の時、ダンブルドア先生にそう教えてもらいました!だから、だから――」
「分かった、分かったよクリス。この事はこれ以上追及しない。それにこれは私と君、そしてダンブルドア先生と3人だけの秘密にしよう。良いね?」
「……はい」

 落ち込むクリスの肩を、先生は優しく包んでくれた。その温かさに、クリスは自然と目を閉じて体の力を抜いた。こんなに落ち着ける場所が、他にあるだろうか。どこか懐かしいような、それでいて胸がときめく感覚を、クリスは初めて知った。

「さあ、もう気は落ち着いたかい?それじゃあ夕食を食べに行こう。君もお腹が減っただろう」
「は、はい」

 正直ショックが大きすぎてお腹は減っていなかったが、大広間ではハリー達が待っているはずだ。皆と合流するためにも、クリスはルーピン先生と一緒に大広間に向かった。
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