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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第10章 【許されざる呪文】


 それからひと月もしない間に、『闇の魔術に対する防衛術』の授業は生徒達の間で大人気の授業となった。それは3年生だけではなく、フレッドとジョージでさえも先生の――彼らに言わせればジョークのきいた――授業に夢中になった。
 ただ、ドラコを含めた一部のスリザリン生達だけは、先生の継ぎはぎだらけのローブを見て嘲っていた。だがそんな事を気にする生徒の方が少なく、皆が皆ルーピン先生の授業を楽しそうに受けていた。また先生も次から次へと面白い妖魔や妖精を連れてきては皆に実地訓練をさせた。

 クリスは先生の評価をあげようと、必死になって勉強に勤めた。空き時間は宿題をこなす以外は全て『闇の魔術に対する防衛術』の予習復習に当てた。これが功をなして、ルーピン先生の授業でクリスは真っ先に質問に答え、結果、いつもあの優しい微笑みと労いの言葉をかけて貰える様になった。
 だが、クリスの心の中ではいつも『自分の中にあるもう1人の自分』が引っかかっていた。いつか先生に全てを話そうと思ってはいたのだが、なかなか言える機会と度胸が無く、おまけに先生の顔を見ただけで緊張して口調もしどろもどろになってしまうので、いつも失敗に終わっていた。

 そんなある日の事、掲示板に嬉しいお知らせが貼り付けられていた。それは第1回目のホグズミード行きを知らせる内容だった。10月末の、ちょうどハロウィーンの日だ。ホグズミードには入学前は、よくドラコと一緒にルシウスおじ様に連れていって貰った事があったが、ホグワーツに入ってからはこれが初めてだ。なんだか懐かしくなり、クリスの気分も上向きになった。
 しかし、ホグズミード行きの許可証にサインをしてもらえなかったハリーからしてみれば、独り取り残されることになる。これは流石のクリスも可哀相だと思った。

「ハリー、マクゴナガル先生に聞いてみろよ。ホグズミードに行かせてもらえるかどうか」

 クリスと同じく、ハリーを可哀相に思っていたロンがそう口にした。するとすぐさまハーマイオニーが反対意見を出した。
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