• テキストサイズ

ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第31章 【ピーター・ペディグリュー】


「完全に気を失っている」
「ああ、私……私ったらなんて事を。先生を攻撃するなんて――きっともの凄い規則違反になるわ」
「こんな時まで規則の事を考えているのかよ」

 ハーマイオニーの言葉に、ロンが呆れた様に呟いた。ベッド際に居た3人の元に、ブラックがゆっくり近づいて行った。

「ありがとう、私を助けるためにこんな事までしてくれて」
「僕達、まだ彼方を完全に信用したわけじゃありません」
「それじゃあ、今こそ信用される為に証拠を見せる時が来たようだ」

 ブラックはロンに向き直って、手を差し出した。その途端にスキャバーズが猛烈に喚きながら、ロンのポケットの中で暴れだした。

「邪魔者はもういない。さあ、ピーターを渡してくれ」
「冗談だろう?こいつがピーターだって言う証拠がどこにあるんだよ。それにお前はずっとアズカバンにいたんだろう、どうやってこいつを見つけ出したんだよ!ネズミなんてそこら中にいっぱいいるじゃないか」
「まともな疑問だ、シリウス。説明してくれ」

 手首に残った縄の痕をさすりながら、ルーピン先生が立ち上がった。ブラックはやせ細った腕をローブに突っ込むと、中からクシャクシャの紙切れを取り出した。皺を伸ばし、皆にそれを突き出した。
 それは約1年前の『日刊預言者新聞』で、夏休みにウィーズリー家が『日刊預言者新聞・ガリオンくじグランプリ』当選したことが載っている記事だった。記事は写真付きで、その写真にはウィーズリー家の皆が写っており、ロンの肩にはスキャバーズが乗っていた。

「いったいどこでこれを?」
「ファッジだ」

 ブラックは静かに言った。魔法省大臣のファッジが何か関係あるのだろうか。ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニー、そしてルーピン先生は記事をよく見ようと頭を突き付けた。

「去年、ファッジがアズカバンの視察に来た時、ファッジがくれた新聞にこれが載っていた。私には直ぐにこの少年の肩に乗っているのがピーターだと分かった。いったい何回コイツがネズミに変身するのを見てきたと思う?……それに記事にはこの少年は休みが明けたらホグワーツに戻ると書いてあった。そう、ハリーのいるホグワーツに――」
「――まさか、そんな事が……」

 ルーピン先生は写真をじっと見つめ、それからスキャバーズに視線を移し、また写真を見つめた。そしてあることに気づいた。
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp