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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第27章 【本領発揮】


 次に下りてきたパーバティに訊ねると、パーバティはネビルと違い自慢そうに喋った。

「私、将来は占い師になれるほどの素質を持っているんですって。トレローニー先生がそう仰っていたの。私、本当に色々なものが見れたわ!」

 そう言って、親友のラベンダーと一緒に螺旋階段を下りていった。その後姿を見ながらロンが言った。

「どれが本当だろうな?あのインチキババアの事だ、適当に悪い予言を言っておけば良い結果になるかもしれないぜ?」
「ロナルド・ウィーズリー」
「おっと、噂をすれば僕の番だ。じゃ、先に行ってるぜ」

 先生のか細い声が聞こえ、ロンは梯子を上って行った。残されたのはハリーとクリスだった。2人とも教科書を開く気にもなれず、時間ばかり気にしていた。もう2時まで30分程しかなかった。やっとロンが下りてきて、結果を聞いた。

「馬鹿馬鹿しい、何にも見えなかったよ。だから適当にでっちあげておいたけど、先生が納得したかどうかは分かんない」
「ハリー・ポッター」
「僕の番だ」
「じゃあハリー、クリス、僕は先に談話室に行ってるよ。ま、適当に頑張れよ」

 そう言ってロンは螺旋階段を下りて行き、ハリーは梯子を上って姿が見えなくなった。

 1人きりになると、クリスは途端に心細くなった。きっとハグリッドも今同じような気持ちなんだろうと思うと、余計にハグリッドの事が心配になって来た。傍にいてあげたい、例えどんな事をしても。もし透明マントさえあれば――しかし透明マントはハリーがどこかに置いたまま、行方が分からない。
 ハラハラして、クリスは頭がどうにかなってしまいそうだった。その時、突然ハリーがクリスを呼ぶ声がした。

「クリス!クリス、早く来て!!」
「なんだ?ハリー?」

 クリスは梯子を上って撥ね戸から頭をひょいと出した。中はむわっとする空気が充満しており、おまけに暑くて余計に頭がくらくらしてきた。部屋の中心で、ハリーが手をこまねいている。

「早く!早く!」
「いったい何だって言う――」

 クリスが喋りかけた時、トレローニー先生の眼がギョロッと動き、いつもの霧のようにか細い声ではなく、ウ~ッと喉の底から低いうなり声を上げていた。
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