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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第27章 【本領発揮】


「やれやれ、この年になってこんな遠くまで呼び出されるとは。ファッジ、控訴の時間は2時からだったかね?」

 よぼよぼの魔法使いがファッジに向かって話しかけた。その隣で、筋骨隆々の魔法使いが、ベルトに挟んであるピカピカに磨き上げられた斧を、その太い指でなぞっていた。それを見てロンが何か言いたそうに前に進み出たが、ハーマイオニーがロンのローブを引っ張って城の中へと無理矢理連れて行った。クリスもハリーも、言いたい事は山ほどあったが、何も言わずそれに着いて行った。

「どうして止めたんだよ!」
「どうしてって、大臣は彼方のお父様の上司でしょう?下手な事は言えないわよ」
「だからって、あいつら斧まで用意して来てるんだぜ?どこが公正な裁判だよ!!」
「ハグリッドが冷静に弁護すれば、今度こそ勝てるかもしれないじゃない……」

 そう言いながら、ハーマイオニーの声は自信なさげだった。
 昼食を食べるため4人は大広間へやって来た。周りの生徒達は、午後の試験でやっとテスト地獄から解放されると喜んでいたが、ハグリッドの事を思うと、素直に喜ぶことは出来なかった。

 午後の試験はクリス達は『占い学』で、ハーマイオニーは『古代ルーン文字学』だった。昼食を食べ終わると、それぞれの教室へ向かった。
 『占い学』の教室の前では、沢山の生徒が最後の詰め込み作業に追われていた。皆教科書を開き、ぶつぶつ言っている。隣りで教科書を開いていたネビルが「1人ずつ試験をするんだって」と教えてくれた。その後「ねえ、水晶玉に何か映ったことある?」と不安げに訊いてきたので、3人そろって「無い」と答えた。

 それから試験が始まると、トレローニー先生独特のか細い声で、生徒を順番に呼ぶ声が聞こえてきた。クリス達の番は中々回って来なかった。3人とも控訴裁判の事が頭から離れず、しょっちゅう時計で時間を確認していた。

 試験が終わって下りてきた生徒達に、どんな試験だったか尋ねたが、誰もハッキリと答えてはくれなかった。ネビルに至っては、恐怖に震えながらこう答えた。

「もしそれを誰かに喋ったら、僕、とてもヒドイ事が起こるってトレローニー先生の水晶玉に出てるって言われたんだ!だから何も言えないよ!!」
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