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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第21章 【消えたスキャバーズ】


 ハリーは、本当はファイアボルトが試合までに戻って来るのではないかと期待していたのだ。確かにファイアボルトがあれば、チームの戦力は一気に跳ね上がるだろう。しかしハーマイオニーのお節介のおかげで、箒は手元にない。

 ハリーは毎回、マクゴナガル先生の授業が終わる度、クリスと一緒になって、「没収された箒とラジオはどうなっていますか?」と訊ねていた。しかし10回目の授業が終わった時、マクゴナガル先生の方から「呪いが掛けられていないと分かったら、真っ先にあなた方にお知らせします。ですからしつこく訊ねるのはもうおよしなさい!」とピシャリと言われた。

「まあそんなに落ち込むなハリー、いざとなったら私のニンバス2000を貸すから」
「ありがとう」
「あーあ、どっかのお節介さんがファイアボルトの事を告げ口しなけえればなあ……」
「――それは、誰の事を言っているんです?ミスター・ウィーズリー」

 突然、後ろから厳格な声が聞こえた。驚いて振り返ると、マクゴナガル先生が手にファイアボルトと、ラジオを持って立っていた。

「先生、それって……」

 ハリーは声が震えていた。マクゴナガル先生はファイアボルトとラジオを、それぞれの持ち主に差し出した。

「隅から隅まで調べた結果、どこにもおかしい所は見つかりませんでした。どうやらあなた方には、良いお友達をお持ちの様ですね」

 ハリーとクリスは約2か月ぶりに、それぞれの宝物を手にした。2人は喜びのあまり声も出ず、感動で涙が出そうだった。隣りで見ていたロンは、ファイアボルトがまた以前と変わらぬ美しさを放っている事に興奮していた。

「土曜日の試合までに乗り心地を試すと良いでしょう。それからポッター、頑張りなさい!良いですか?でなければグリフィンドール寮は8年連続で優勝戦から脱落です、何としてでも勝つんですよ?さもないとファイアボルトの乗り手に相応しくないと、また没収しますからね」

 最後にマクゴナガル先生は「good night」と言って去って行った。3人は顔を見合わせると、スキップで廊下を歩いた。歩きながら、ロンはしつこくファイアボルトに乗ってみても良い?と聞いていた。ハリーはそれを快諾した。クリスは明日早速、隻眼の魔女の抜け道を通ってホグズミードに行き、ラジオを試聴してみようと企んでいた。
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