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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第21章 【消えたスキャバーズ】


「そうだ、僕達ハーマイオニーと仲直りしなくちゃ!僕たちの為にやってくれたんだから」
「悪いがそれだけは出来ないな」

 それまで上機嫌だったクリスが、いきなり厳しい声で呟いた。

「あの女の知ったかぶりが治らない限り、私は許す事は出来ない」
「そんな……あの時は、ただ僕らと話すきっかけが欲しかっただけだよ」
「それでも言って良い事と悪い事がある。仲直りするなら2人だけでするんだな」

 クリスはツンとそっぽを向いて、足早に廊下を歩いていった。するとカドガン卿の肖像画の前で、ネビルが何かわめいているのが聞こえた。

「本当だよ!確かに書き留めておいたんだよ!!」
「滑稽な、ではその書き留めた紙とやらはいずこへ消えたのだ!まさか足が生えて勝手に逃げたとは言うまいな!?」
「そんなはずない!どこかに落としちゃっただけなんだ!!」
「どうかしたのか、ネビル?」
「あっ、クリス!それにハリーとロンも!ねえ聞いてよ、僕が合言葉を書き留めた紙をどこかに落としちゃて、中に入れてくれないんだ」

 ネビルは半分泣きそうになっていた。カドガン卿は毎週毎週合言葉を変えるので、ネビルはそれを紙に書き留めておいたらしい。だがその紙を無くしてしまったと言うのだ。正に本末転倒だが、見るに見かねたクリスが代わりに合言葉を言った。

「オツボディキンズ!」

 カドガン卿は「ムムム……」と唸り声をあげながら、悔しそうに4人を談話室へ入れた。ハリーがファイアボルトを手に談話室に入ってくると、それを見た生徒達は皆そろって歓声をあげた。フレッドとジョージが、もう噂を広めていたらしい。
 ハリーは皆に取り囲まれ、ファイアボルトは次から次へと人々の手に渡った。それは1年生の時ハリーがニンバス2000を手に入れた時と同じ状況だった。

「ねえハリー、触ってみても良い?」
「すげぇ、本物のファイアボルトだよ」
「これでクディッチ杯はもう貰ったも同然だな」
「ハリー、一度で良いから乗らせてもらえないかな?」

 皆間近で本物のファイアボルトを見ようと興奮していた。それから数10分経つと、やっとハリーとファイアボルトは解放された。ハリーとロンは、ただ1人このお祭り騒ぎに参加しなかったハーマイオニーに目をやった。
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