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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第21章 【消えたスキャバーズ】


 クリスは杖を取り出そうとローブの懐に手を入れた瞬間、ルーピン先生が教室から出て来てこちらにやって来た。

「やあ、4人ともこんな所で何をしているんだい?次の授業に遅れるよ」
「……何でもありません、先生」

 ルーピン先生のお蔭で、最悪の事態だけは避けられた。しかしクリスの心の中でハーマイオニーに対する友好度は最低まで下がった。折角仲直りしようとしていたのが、本気で馬鹿らしく思えてきた。クリスはその場から去ると、次の授業まで、まるで口が糊付けされたかの様に一言も発さなかった。心中はハーマイオニーに対する怒りで燃えていた。

 ――なにが「貴女よりは先生の事を知っている」だ、あの知ったかぶりめ。そうして誰よりも上に立ちたいならそうすれば良い。だが私は認めない。アイツの方が先生を理解しているなんて――
 クリスの中では、ハーマイオニーの事は誰より憎い相手になっていた。今やロン以上に、ハーマイオニーに対して嫌悪感を募らせていた。その結果、クリスはハーマイオニーと仲直りするのを止めた。寧ろ向こうから謝ってきても許す気なんてさらさら無かった。それほどクリスの心は荒れていた。
 その所為で、例えハーマイオニーが同時にいくつもの授業を取っていても、その授業の宿題に追われヒステリックになっていても気にすらならなかった。

 そうこうしている内に1か月が経った。ハリーは週5でクディッチの練習があり、木曜にルーピン先生と『ディメンター祓い』の特訓があるので、空いている日は一週間の内でたった1日だけしかなかった。その代りと言っては何だが、ロンとクリスで、少しでもハリーの負担を減らそうと宿題を写させたり、分からない所が無いよう徹底してレポートに書き記した。
 だからその日も、クリスはロンと一緒に遅くまで図書館で宿題をしていた。すると廊下で、練習終わりのハリーと鉢合わせた。

「やあ、ハリー。お疲れさま」
「どう?練習は上手くいってる?」
「うん。だけど、やっぱりちゃんとした箒が無いとね……」

 レイブンクロー戦が間近に迫っていると言うのに、実はハリーはまだ箒を注文していなかった。つい先日ウッドからニンバス2001なんてどうだ?と言われていたらしいが、ドラコと一緒の箒なんてまっぴらごめんだと言っていた。
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