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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第2章 Promise




零した溜息に私は一層疲労感を募らせる。教室を出ると廊下の窓から射し込む橙が目に染みた。

真新しい制服の裾に視線を落とす。
雄英に入学して二日目。そう、まだ二日目だというのに私は大失態を曝してしまった。
担任の相澤先生のきつい言葉が脳内で反芻され、もう一つ溜息を零した。


私には苦手なものがある。それはヒーローを目指す上で大きな障害であり、致命的な弱点だ。

ここ雄英高校に入学したのもそれを克服して、あの時…自分を救ってくれたヒーローのようになりたいと思ったから。

それなのに、初っ端から躓いてしまうなんて。
滲み出る涙が零れないよう、強く、唇を噛んだ。




高校生活二日目、ヒーロー基礎学。
オールマイト先生の一言で早々に戦闘訓練が行われる事となった。まだ見ぬマイコスチュームをこんなに早く身に纏うことになるとは誰も予想だにしなかったと思う。

更衣室でコスチュームに着替えてグラウンド・βに移動する。私の個性上仕方ないのだけど、露出が多くて赤面してしまう。
慣れでどうにかなるのかな?世のセクシーヒーロー達は凄いな…。

すーすーするお腹を押さえ俯いていたら背後から麗日さんの元気な声が響いた。

「綿世さんのコスチューム羊みたいですっごく可愛い!」
「そ…そんなことないよ」
「ねえ!さわってもいい?」

こくんと頷くと、麗日さんはショートパンツの裾に触れて頬を緩ませた。麗日さんのが可愛いよなぁ…なんて、つられて私まで顔の力が抜けてしまう。

私の個性は『綿』。体から羊毛のような綿を出すため、八百万さんと同じく皮膚を露出していないと使いづらいのだ。
デザインに際し特に希望を書かなかったら、胸元の開いたタートルネックのチューブトップに、下はショートパンツになった。
どちらももこもこ素材。防御面は個性で補えって事だろうか。

「慣れるまでちょっと恥ずかしいね!」
「ねー」

柔らかな笑みを零す麗日さん。入学初日から明るく挨拶してくれた優しい人だ。
人見知りしてなかなか自分から話しかけに行けなくて、このまま一人ぼっちだったら…なんて考えていたけれど、麗日さんのお陰でそれも杞憂に終わった。
心の中でありがとうと手を合わせて朗らかな麗日さんに感謝した。


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