第4章 Dawn
翌朝、私は母が持ってきてくれた制服を着て退院した。これから学校に行き、またいつも通りの日々に戻るのだ。
乗り込んだタクシーは雄英高校を目指し発進する。
「まり、本当に今日休まなくて平気?無理しなくていいのよ」
「大丈夫!いつもの貧血だったし、怪我もないし学校行くよ。心配かけてごめんね」
「もし何かあったら携帯か会社に連絡して。一応仕事抜けられるようにしておくから」
「もー大丈夫だって。雄英にはリカバリーガールもいるし、家にいるより安心安全だよ」
「…それも、そうね」
タクシーの中でお母さんを鎮めているとあっという間に雄英の門の前に到着した。学校の近くの病院だったのかと今になって気がつく。
お母さんが気をつけてね、と手を振る。私も頷いてお仕事頑張ってねと手を振り返した。
門を潜り、指で頬を押して口角を上げる。教室に着くまでに笑顔で挨拶するイメージトレーニングを何度も繰り返した。今は一限の半ば頃だ。静かな校内を進み、クラスの前に着く。深呼吸してそっと教室の扉を開けた。
「おはようございます」
上手く笑えてるだろうか。皆が口々に挨拶を返してくれた。授業をいつまでも止めてしまわないようにすぐに席について鞄を下ろすと、普段通りの授業が再開した。