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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第4章 Dawn



ぽつぽつと誰かの声がする。私のベッドと違う感触、よく分からない匂い。ここはどこだろう。
はやく、起きないと…。

重い瞼を持ち上げるとそこは知らない場所だった。白い天井、白い壁、腰窓に揺れる白いカーテン。

「綿世さん!」
「まりちゃん!」

窓と反対側からかけられた声に振り返るとよく知った顔ぶれ。
皆口々に名を呼んだり、身を案じたりしてくれる。ぼんやりとクラスメイト達の顔を眺めていたら徐々に記憶が蘇ってきた。USJ、ヴィランの襲撃…そうだ、私個性を使いすぎて倒れたんだ。

「目ぇ覚めてよかったよー!」
「みんな心配したのよ」
「大丈夫か?綿世丸一日眠ってたんだぜ」
「大した怪我なくてよかった!」
「うわあぁん!」
「綿世ー!」

お茶子ちゃん、梅雨ちゃん、切島くん、上鳴くん…ベッドの縁で泣く透ちゃん、三奈ちゃん。

「ごめんね…大丈夫だよ。みんなありがとう」

笑って答えるとほっと安堵の息が聞こえた。クラス全員無事と聞いて私も胸を撫で下ろした。先生たちは大丈夫だろうか。表情を曇らせると、それを察した飯田くんが教えてくれた。

緑谷くんとオールマイト先生はリカバリーガールの治療で済んだが、相澤先生と13号先生は病院で治療を受けているそうだ。命に別状は無い…しかし、相澤先生は目に後遺症が残るらしい。

落ち込む気持ちを抑えて、なるべく明るく今日学校は?と訊けば、臨時休校になったから集まれる人達で私の様子を見にきてくれたとの事。申し訳なさはあれど、自分を思ってくれた嬉しさで胸の奥が温かくなる。

「明日からは通常通りだとさ!」
「では、これから検査があるようですからお暇しますわね。まりさん無理せずゆっくり休まれて」
「うん、みんな、わざわざありがとうね」
「元気なったら飯いこーぜ!」

上鳴くんのいつもの台詞に笑って頷く。じゃーな!とかまたね!とか聞き慣れた挨拶が胸にじんわり染み渡って体に熱が広がった。

ベッドの上から手を振って見送ると、緑谷くんが心苦しげな面持ちで病室の隅に立っているのに気づく。呼びかけて首を傾げると彼は控えめにベッドに歩み寄り重い口を開いた。

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