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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第3章 Declaration


靄のヴィランと、死柄木と呼ばれた手だらけのヴィラン。オールマイト先生は土埃の中で立ったまま、かかってこないのかと彼らを煽っている。
皆が自分たちの出る幕じゃないと考え離れる中、緑谷くんは瞳を震わせて何か思い悩んでいるようだった。確かにオールマイト先生の受けた傷は相当で、二人がかりで来られたら危ういかもしれない。緑谷くんなら、また、先生を助ける為に飛び出すだろう。入試の時だって、さっきだって、彼は真っ先に飛び出していたから。

周りで倒れていたヴィラン達が起き上がり、私達を取り囲む。私は万が一緑谷くんが危険に陥った時のために意識を彼に向け、いつでも個性を使えるように息を吐いた。
靄のヴィラン、そして死柄木がオールマイトに向かって走り出す。緑谷くんは即座にオールマイト先生と敵二人の間に飛んで、拳を振りかざした。

「っ緑谷くん!!」

死柄木の手がワープゲートから緑谷くんの眼前に迫る。
私は全身から人ひとり包めるくらいのありったけの綿を彼に向けて放つ。お願い、間に合ってと心の中で叫ぶ。
体が引き裂けそうになる勢いで全身から溢れ伸ばされた綿は、彼の頭から足まで覆い、包み込んだ。死柄木の手は緑谷くんの顔を包んだ綿を崩す。
もう駄目かと思った時だった。乾いた銃声が響き渡り死柄木の手は弾かれた。緑谷くんは間一髪、敵の攻撃から免れたのだ。
緑谷くんを近くに引き寄せて個性を解除すると、綿が私の皮膚から離れた事によってふわふわと風に流されていった。

助けがきた…良かった…。

安堵したら視界が揺らめいて。せめて、あと少し、緑谷くんの紫に腫れ上がった手足に手を翳して厚い綿で固定する。

「なっ…綿世さん!」

緑谷くんの声と、遠くで聞こえた轟くんの声を最後に意識を手放した。

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