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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第3章 Declaration



「綿世、大丈夫か。バス乗るぞ」
「わっ轟くん!…ありがとう」

いつの間にか轟くんが私の前に立っていた。
周りを見渡せば、皆が飯田くんの声掛けによってバスに乗り込んでいるところだった。さっさと先に行ってしまう轟くん。私も慌ててバスに乗り込むと、思っていたのと違う、路線バスのような車内だった。

空いている適当な席に座ろうと思ったら微妙な席しか空いてなくて結局轟くんの隣の席に落ち着いた。微妙な、というのは峰田くんの隣とか爆豪くんの隣とか。ちょっと身の危険を感じる席は避けたい。

皆が席につくと、バスは演習場へ向け出発した。
隣の轟くんは目を閉じて静かに佇んでいる。僅かに見えるその整った横顔も二色の髪も相変わらず綺麗でつい見入ってしまう。

「……綿世」
「ん、なに?」
「用があるなら言ってくれ」
「えっ!特にないよ!」

目を開けたかと思えば少し不快げな表情を向けられる。何秒もの沈黙の中疑うようにじっと見られると何だか落ち着かなくて。結局、観念して照れながらも笑って答えた。

「轟くんの髪、好きだなって、思ってた」

白も赤も綺麗で、と笑いかけると轟くんは驚いた顔を浮かべる。そして一瞬間をあけてから、そうか、と言って窓の方へと顔を逸らした。また困らせてしまったかな。轟くんは容姿のこと言われるの好きでは無さそうだし…。

私達がそんなやり取りをしてる間に車内は何やら盛り上がっていた。上鳴くんが爆豪くんをなじると案の定爆豪くんは怒鳴る。彼の怒鳴り声にももう皆慣れっこで響香ちゃんは煩そうに爆豪くんから身体を避けていた。

「あぁ!?笑ってんじゃねぇ!クソ羊女!」
「なっ…笑ってないよ!あとその呼び方やだ…」

何故か後ろの私にまで飛び火して怒鳴られる。笑ってないし寧ろ落ち込んでたところだし、と頑張って反論するも全く聞いてないようですぐに矛先は別の所に向いていった。

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