第1章 悲劇のヒロイン
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父が亡くなった半年後
精神的ダメージを受け病気になり
母は後を追うようにこの世を去った。
まだ高校生だった私は
ただ、“生きる”ことに必死だった
いつもはシェフが作ってくれていた食事
慣れない手付きで野菜を切ったり
いつもはメイドが用意してくれていた洋服
干したまま雨に濡れちゃうこともある
いつもは執事が入れてくれていた紅茶
すっかりお湯を沸かし忘れてしまったこと
何をするにしても失敗ばかり繰り返していた
そんな私を救ってくれたのは
怜さん....怜お義兄様だった。
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