第1章 悲劇のヒロイン
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「お待たせ、真紘さん」
「私も今着いたばかりでした
それじゃあ、行きましょうか」
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「なかなか雰囲気のあるお店だね?」
「はい。ここはよく家族で来ていた
馴染みのあるフランス料理店なんです」
「君のお義父さまはセンスが良いね
あぁ、このワインに合う料理が欲しい」
「それなら、コースでお願いしましょう」
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「サラダにつかわれているドレッシング
自家製なのかな?それにこのラタトゥイユ
ハーブがきいていて美味しいね」
「はい!こちらのマグレ・ドゥ・カナール
甘めのソースと無花果が引き出す味も
とても絶品なんですっ」
「どれも本当に美味しいね
お楽しみのデザートは何かな?」
「このお店の人気デザートは
ポワール・ベル・エレーヌです」
「チョコレートと...
んん、洋梨がはいってるね」
「甘く煮た洋梨にバニラアイスと
ビターチョコが合っています」
「そこまで甘過ぎないテイストだし
チョコレートが得意じゃない僕でも
これは美味しいと思う」
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「怜お義兄様、今日はどうでしたか?」
「うん、とても素敵なディナーを
過ごすことが出来たよ。ありがとう」
「喜んで頂けて良かったです!」
「その...真紘さん」
「はい、何ですか?」
「この後は予定あるかな?」
「いえ、予定は無いですよ」
「今夜は僕と...」
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*ラタトゥイユ
プロヴァンス地方の言葉で
ラタ=野菜 トゥイユ=混ぜる
ナス、ズッキーニ、パプリカ
さまざまなハーブを使い
弱火で焼いていく
*マグレドゥカナール
鴨のムネ肉の
両面をロースト焼にして
残った肉脂を蜂蜜と
イチジクなどで煮る
*ポワールベルエレーヌ
ポワール=洋梨
洋梨は皮を剥いてヘタは残して
砂糖を入れて煮込む
ビターチョコレートと
バニラアイスをかける
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