第9章 光と影、そして闇
「さーて、それじゃあ早速第1種目、いきましょう、いわゆる予選よ!
毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!!
さて、運命の第1種目!!
今年は……コレ!!!」
モニターに表示されたのは、何ともシンプルな5文字の漢字。
『障害物競走』
計11クラスの総当りレース。
コースはスタジアムの外周4km。
コースさえ守れば、何をしても構わないらしい。
ミッドナイトの説明を聞いて、終綴は悪どい笑みを浮かべた。
──4kmなら…4番以内にしよう。
家族から、とある個性を借りてきた。
できることなら、これ1つで済ませたい。
…可能な限り、自分の身体能力のみでどうにかするけれど。
「スターーーーーーーーート!!」
狭いスタートゲートに、人がぎゅうぎゅうと詰め寄る。
終綴は何をしたのか、選手たちの頭上を走っていた。
文字通り、頭上を。
「いってぇ!!」
「踏まれた!!」
そんな声を聞きながら、終綴は前方でクラスメイトたちが飛んでいるのを視界の端に捉えた。
──…ペース上げるか。
だん、と強い音と共に終綴が着地すると、そこには見覚えのあるロボットが大量に蠢いていた。
──入試の仮想敵………。
『さぁいきなり障害物だ!!
まずは手始め…第一関門、ロボ・インフェルノ!!』
1番に行動に出たのは轟だった。
いくつかのロボを一瞬で凍らせ、その下を走り抜ける。
不安定な体勢を狙っていたようで、彼が抜けた直後に倒れた。
『1-A轟!!攻略と妨害を1度に!!
こいつぁシヴィー!!!』
マイクの実況を聞いて、終綴は嬉しくなっていた。
──入試と違って、妨害もオッケーなのか!
「…よし」
地面を強く蹴る。
大きなロボの懐に入り込む。
そして垂直に飛び上がり────
終綴の足の裏から、爆発が起きた。
…ように錯覚させるほど、力強い蹴りを放つ。
凄まじい風圧と共に、周辺のロボットは全て歪み、破壊され、破片は前方へと飛んでいく。
『何だ今の!!?
一蹴りでロボたちを破壊したぁーー!!?
本当に高校生かよ!!?』