第5章 目を光らせて
終綴がセキュリティゲート────正門の方に行くと、そこには教師たちが集まっていた。
何か、いや、正門を囲んで何かを話している。
──何だ?
マスコミはもう撤収したはずなのに、とその光景に違和感を覚える。
身を隠しつつそちらに歩みを進めると、大きくはない声が、耳に入って来た。
「ただのマスコミに、これができるだろうか?」
──これ?
──侵入のこと?
やはり自分の予想は当たらずとも遠からずといった感じで、マスコミ以外の力が加わったのだろうか?
第三者の、力。
得体の知れない者からの。
それが、どれほど恐ろしいものなのか、どれだけ警戒をしなければならないのか────終綴は、身をもって知っていた。
その犯人らしき人物?に教師たちは辿り着いていない様子だが、せめて正門の様子を見てから教室に戻ろうと思う。
そして、さらに近寄り──────
──なんなんだ、これ……
その異様さに、息を飲んだ。
1番外側の門が、粉々にされていた。
鉛色の残骸は、その門の眼前で山を作っている。
──明らかに、マスコミ如きができることじゃない。
このような個性を持つ者がいるのなら別だが、しかし強引なインタビューのために個性を使用するなら、それは法律違反に当たる。
下手をすればクビにもなるというのに、そこまでリスキーなことを進んでするだろうか?
というか、そこまでするのなら、オールマイトを追跡でもして自宅を突き止めるなり追い回すなりする筈である。
──なら、侵入「させた」ってことになる。
──誰かの手によって。
目的は何なのだろうか。
ここにいる教師たちが落ち着いているところからして、何か直接的な危害を被ったわけではなさそうだ。
──なぜ、………
考え込む終綴だったが、教師たちがこちらに歩いて来そうだったので、慌てて踵を返して教室へと戻っていった。
周囲には注意しないと、そんなことを思いながら。