第13章 日陰者
「……………黒霧、こいつらトバせ
俺の大嫌いなもんがセットで来やがった
餓鬼と、礼儀知らず」
しかしそんな苛立つ死柄木を黒霧が宥め、義爛は紹介だけでも聞いときなよと続けた。
「トガです!トガヒミコ
生きにくいです!
生きやすい世の中になってほしいものです
ステ様になりたいです!
ステ様を殺したい、だから入れてよ弔くん!」
支離滅裂だが、彼女なりには理にかなった言葉らしい。
敵とは思えないほどに、瞳はキラキラと輝いている。
「会話は一応成り立つ、きっと役に立つよ」
そして、紹介は継ぎ接ぎだらけの青年に移る。
「今は荼毘、で通してる
ヒーロー殺しの意志は俺が全うする。
それに、───────…」
最後の言葉は自分に言い聞かせているようで、ボソリと呟くだけだった。
「それに、何だ」
「………何でもねぇよ」
そんな荼毘の様子に、死柄木の苛立ちは募る。
「聞いてないことは言う癖に聞くことには答えない……」
フラリ、と椅子から立ち上がる。
「いけない、死柄木…」
黒霧は死柄木に待ったをかけるが、それでは止まらない。
「良くないな…気分が
良 く な い 」
駄目だおまえら
死柄木の殺気と五指が迫る。
荼毘もトガも応戦しようとするが、
「落ち着いてください死柄木弔」
黒霧の個性により、交戦は免れた。
排斥ではなく受容を、との囁きに死柄木はうるさい、と子供のように返す。
わかってはいるのだろう。
自分が何をするべきなのか。
義爛の前を通り過ぎ、うるさい!と言いながら部屋を出て行った。