• テキストサイズ

水面下の梟【ヒロアカ】

第12章 見え隠れするは爪か牙か



***

そして、案の定。

「…で、男はどの位いるんだ」

青年の整った顔に薄く浮かぶ笑みは、全体的に冷たい。
薄い唇が発した言葉もまた、冷たいものだった。

「怒らな、で…学校の行事な、んだかっ…ぁ」
「怒ってないさ」

終綴の頬には、涙の跡。
生理的なものだ。

「クラスには、…お兄ちゃ、…入れて、15に…っひ、」

大きな染みのついたシーツは、皺くちゃになっている。
ガクガクと脚は震え、イヤイヤと終綴は必死で首を横に振る。
呂律も次第に回らなくなってきており、その口調は頼りない。

「も、むりぃ……っ」
「明日は仕事入れないから大丈夫だ、安心すればいい」
「そういう問題じゃ………や、ん、っ」

生暖かい快感から逃れるように身を捩るが、しっかりと押さえつけられていて、思うように動くことができない。

「けっ、ぺき、の、くせ…にっ……ひあああぁぁ!?」

終綴は痙攣している。
意識を失ったらしい。
そこには、普段のチャラけた様子の彼女も、戦闘時に見せる鋭い彼女も​──────どこにも、存在しなかった。
そこにいるのは、ただ、「女」である終綴のみ。

「…おまえは綺麗だよ」

愛おしい恋人を見下ろし、青年は呟いた。

そして、

ギシリ

青年は終綴に跨る。

「さて…いつ起きるかな」

2人きりの時間は、まだまだ始まったばかりである。



/ 287ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp