第11章 忍び寄った影は消える
痛さに悶絶している女を尻目に、女────終綴は、懐から携帯を取り出した。
ストラップも何もついていない、シンプルなものだ。
冷徹そうな目もあってか、今はそれがひどく恐ろしく見える。
「もしもし、私だけど。ごめん、今日行けなくなった」
『──────』
「…体育祭で目立ちすぎたみたい。
私を殺そうとしてるのが、あと5人残ってるんだけど…任せてもいい?」
『────?』
「用があるのは、フクロウじゃない方だったみたいだけどね」
『──────────────』
「あー、そう。うん、今10人から襲撃を受けてね。手加減したし多分死んではないけど、処理に困ってるとこ」
『──────』
「え、ほんと?
大好き!」
『────────────』
「無視かー、冷たいなぁ…」
『────────』
「ごめんごめん、冗談だってば!
…えーとね、今から住所言うよ?
────────────」