第10章 灯る闇は光のように眩く
緑谷が動き出したのを見て、終綴はその場を去った。
───動けたということは、ヒーロー殺しの個性は"一時的に相手の動きを封じる"もの。
───それなら、飯田も動けるようになる。
───緑谷が最初に動けるようになったということは、何かの条件によって個性の効果が違う…不確定要素ということ。
───それで且つ多対一なら、相手の個性的にも、こちらに分があるからね。
さてこれからどうしようか、と場を離れながら考えていると
キエエエエエエ
耳障りな声が、終綴の鼓膜を震わせた。
───脳無!?
───もしそうなら丁度良い、戦っていたから轟の元にたどり着けなかったと言い訳ができる。
ス、と辺りに意識を集中させる。
───7時の方向。
確認すると共に、終綴の姿はふわりと消えた。