第10章 灯る闇は光のように眩く
無事保須に到着し、相棒たちと分かれてパトロールを開始した。
どうやらエンデヴァーは息子にいい所を見せたいらしく、しきりにその様子を探っている。
何だかそれが親に褒められたがる小学生のように見えて、少し可愛い。
強面で威圧感も凄いのにこんな部分もあるのかと終綴は1人、その様子を楽しんで俯瞰していた。
轟は仏頂面で、それがまた面白い。
そうして歩くこと数十分。
轟が、突然走り出した。
進行方向に背を向けて。
──?
その行動を疑問に思うが、「友達が…危ねぇかもしれねぇんだ」との言葉に、納得する。
──友達、って百発百中、クラスメイトだよね。
──とすると………?
ここは保須。
エンデヴァーの狙いであったヒーロー殺し・ステインとでも出会ったのだろうか。
それとも別の何かか。
全く焦凍は、とブツブツ文句を垂れるエンデヴァーに付いていくが、目の前に広がる光景に言葉を失った。
──脳無!?
服装こそ違うものの、藍がかった黒い屈強な体で、頭部の脳みそはむき出しになっている。
いや、それだけでなく、似たような外見の怪物が他にも。
見間違うはずがなかった。
と、いうことは。
──ヒーロー殺しと敵連合、繋がってる…?
素早くスマホを取り出して、『これから ステインと接触?』とだけ入力し、どこかに送信した。
そしてそれをすぐに胸元のポケットにしまい、轟の走っていった方向へと終綴も向かった。
「轟が危ないかもしれない!」
とだけ、言い残して。