第10章 灯る闇は光のように眩く
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「あ、ご指名ありがとうございますー」
にこにこ終綴が笑うと、エンデヴァーは不快そうに鼻を鳴らした。
「貴様の超パワーに興味が湧いただけだ。
あのオールマイトにも匹敵しそうだからな」
相変わらずの台詞に、轟は苛立ちを覚えた。
体育祭で緑谷に諭され、父親への憎しみは緩和されたと思っていたが、やはり本人を前にするとそうもいかない。
昔と同じ、何ら変わりない思考回路をしているのかと憤ったが、終綴が普段のようにヘラリと笑い、少しだけ冷静になれた。
「嫌だな、私は個性婚とかしませんよ?
せっかく子供作るなら、子供とも夫婦でも良好な関係でいたいですし」
もっとも、その笑顔のまま地雷を踏み抜いたために場の空気は固まったのだが。
「………なんでお前が知って」
轟は喉から声を絞り出した。
終綴に話した記憶はない。
しかし、2人の様子にクスリと終綴は笑った。
「やっぱりそうだったんだねぇ、分かりやすいよ轟」
「……?」
「個性ってさ、普通両親どちらかのものか類似型、複合型、それかその両方が発現するでしょ。
轟は個性2つだから、両方出たって考えるのが妥当だよね。
どっちも使えば凄く強いのに、頑なに左を使おうとしない…"炎"の方に何か嫌な感情を抱いてるって思うのが自然でしょう?
で、そんなに轟が父親のこと嫌がってるのに、両親が仲いいなんてことは考えづらいからね」
普段のチャラけた様子はなく、流暢に言葉を紡いでいく終綴。
それに親子は目を丸くしたが、轟はそうだこういう奴だと思い直す。
中間テストの成績は奮わなかったようだが、戦闘時等の考察力や洞察力はプロ並みである。
15そこらの子供がそこまでに考えが及ぶこと自体異様なのだが、エンデヴァーはそれについて深くは追及しなかった。