第10章 灯る闇は光のように眩く
──あ。
自分を指名しているヒーロー事務所の一覧を見て、上の方にあったその名前に、終綴は歓喜した。
──超・理想的。
『エンデヴァー事務所』
雄英に入る前から、エンデヴァーの事務所に行きたいと思っていた。
体験でも、卒業後のヒーローとしても。
思わず小さくガッツポーズする。
すると、なになにー!?と、クラスメイトたちが覗きこんできた。
「終綴ちゃん、どこから来て………うわぁ、さすがやなぁ」
「3人、指名の数ぶっちぎりだったもんね」
轟、終綴、爆豪。
この3人は、確かにぶっちぎりで指名が多かった。
「どこ行くん?」
麗日がドキドキ、といった感じで訊いてくる。
「エンデヴァーのとこかな!」
迷いなく答えると、斜め前の席の生徒────轟が、会話に入ってきた。
「俺もだ」
体育祭前とは全く違う様子に、終綴は目を細めた。
以前までの轟なら、クラスメイトの会話に割り込むこともないだろう。
目の奥に潜む憎しみも、幾分か和らいだ気がする。
──吹っ切れた感じかな?
「そうなの!?
轟もエンデヴァーんとこ!?
じゃあ同じだね、一緒頑張ろ!!!」
おう、と轟は僅かに笑みを浮かべた。
クラスの女子たちは、イケメンの笑顔に色めき立っていたが、終綴は笑顔を崩さない。
──轟とも、仲良くならなきゃ。
「あっねえ、じゃあ今日昼一緒食べよ!!」
「いつも緑谷たちと食べてるんじゃねぇのか」
「約束してる訳じゃないし!
轟とも仲良くなりたいな!」
───ほどほどに、ね。
しかしそんな終綴の内心など知らない轟は、そうだなと頷いたのだった。