第5章 自分に素直に
降谷零said
降谷「じゃ、俺は一回家帰るわ。」
そう言って財前から逃げるように家を出て車を走らせる。
だってキスされたんだ。どんな顔して話せばいいんだよ。
まぁ、向こうは酔ってて覚えてなかったけど。
〜♪
不意に安室名義の携帯が鳴る。
安室「もしもし?」
梓「あ、安室さん!急で申し訳ないんですけど、モーニングだけシフト入ってもらってもいいですか?」
安室「はい、今から向かいますね!」
急いでポアロに向かう。
エプロンをつけてしばらくすると
安室「いらっしゃいませ!あ、柚鈴さん!」
ついさっきまで一緒にいた財前がやってくる。
彼女の席にコーヒーを運ぶと何か考え込んでいる様子。
安室「お待たせしました。なんだかお疲れですか?」
まぁ、大方予想はつくけど。
それから指で自分の唇をなぞり小さい声で
柚鈴「夢、だよね?」
と呟く。
夢じゃねぇよ。お前のせいでほとんど寝れなかったんだからな。
と言いたいがあいにく俺は今、降谷ではなく安室だ。
、、、安室?
そういえば昨日俺にキスをした財前は降谷の名前を呼ぶのではなく安室透の名を呼び嬉しそうにふにゃって笑ってキスをして来た。
もしかして彼女は安室のことを少なからず意識しているのではないだろうか、、、
でも彼女の安室への気持ちはあまり嬉しいものではない。
だって安室透という男は存在しないからだ。
そしてこの数日、俺は毎日財前のことを考えている。
何をしててもふいに頭をよぎるのだ。
それで気づいた。
俺は、降谷零は財前柚鈴のことを好きになってしまったのだ。
降谷零said end.