第2章 中編 古代都市シャンドラ
「残念だが、おれは諦めが悪いからなぁ。一回フラれたくらいで手放そうとは思わねぇんだ」
「…はぁ」
「おまえに愛情という感情がないなら、これから教えてやる。それでいいだろ?」
「何が良いのか分かりませんが、そもそも私がここを出ていきたい理由を考えないのですか?」
「ん?まだ他に理由があったのか?」
ユーリの髪を撫でている男からは全くの危機感など感じない。
ユーリがここにいれば、シャンドラが滅ぶというのに。
「…どちらかと言えば、そちらが本音なのですが」
ユーリは身体を起こすとシャンクスと向き合った。
視線を向ければ、交わった視線。
その視線に込められた愛情に、何か感じるものがあるのかと問われれば、残念だが何もない。
そんな事よりも、これから起こる未来の方が問題だ。
「…私が神殺しと言われていたのは知ってますよね?」
ユーリは暫く考え込んでいたが、観念したのか重い口を開く。
本当は話すつもりはなかったが、解放してくれる気配がないので仕方ない。
何もかも振り切ってここから逃走してもいいのだが、何となくこの男は後を追ってきそうな気がした。
別にここを離れる理由は彼の為なので、何も疚しいことない。
しかし、それが原因で面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだ。
人間に負けるわけないのだが、彼は未知なる強さを持っている。
折角ここまで修復できたのに再び損傷受ける。
そうなったら、他の古代兵器達に笑われるだろう。