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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第2章 中編 古代都市シャンドラ



「ユーリ、お前を愛している。だからここに残ってくれないか?」

静寂に包まれるこの空間で、静かに紡がれた言葉。

分かりやすく伝えたつもりだが、彼女は呆けたように視線を向けただけだった。

その様子に、シャンクスは苦笑した。

一体何時から彼女を好きになったのか。

流石のシャンクスも動物を恋愛対象に見ることはない。

ならば、夢で見た時から心惹かれていたのだろうか。





「…え?」

ユーリの言葉を待っていると、予想通りというか理解できなかったようだ。

そもそも機械に愛という感情があるはずもない。

ましてや彼女は殺戮兵器として作れらたものだ。

感情などという余計な機能を搭載するくらいなら、破壊力を上げるほうが合理的だ。

「愛情は理解できねぇか?」

分かってはいるが、そう聞かずにはいられなかった。

例え感情がなくても、そう簡単に引けるほど彼の思いも軽いものではない。

自分でも困惑するほど、ユーリという存在を好きになっていた。

「いえ、そういうわけでは…」

ユーリからの答えを待っていると、少しだけ予想から外れた。

彼女曰く、自分自身がそう言った感情を持つことはないが、知識として知っているらしい。

「じゃぁおれがその感情をおまえに向けているのは、理解できるんだな?」

「えぇ、まぁそうですね」

理解できるのならば、諦めるにはまだ早いだろう。
可能性が0じゃないと分かった今、これから展開される彼女との駆け引きを瞬時に思い描く。

といっても、長期戦になりそうだが。

「…で?」

「…うん?」

「答えは?」

「………受け入れるか受け入れないかの2択なら、受け入れないです」

淡々と述べられる言葉に、彼は大袈裟に肩を落とす。

いっその事、訳も分からないまま頷いてくれないかと期待していたが。

流石にそんな考えを持っていると分かれば、色々とドン引かれるかもしれない。


「…まぁ分かってたが、実際言われると結構ショックだな」

シャンクスは苦笑を浮かべると、掴んでいた手をそのままに彼女を引き寄せる。

シャンクスの膝の上に乗りあげた彼女は、意味が分からないと言った表情だ。


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