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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第2章 中編 古代都市シャンドラ



「何処へ行く?」

ユーリが立ち上がると瞬時に腕を掴まれた。

まだ何も言ってないに、何かを察したのだろうか。

捕まれている手にそこまで力は込められていないが、有無を言わせない強さがあった。

「修復は終わりましたので私は戻ります」

「戻る?どこへ?」

「…あるべき場所にです」

捕まれている手を離してくれる気配はない。

予想以上に食いつかれ、ユーリは返答に困っていた。

帰る場所など、殺戮兵器の彼女にあるはずがない。

しかしだからと言って、ここに残るつもりはなかった。

「…どうせないんだろ?帰る場所。ここいいろよ」

だが、のらりくらり交わしていると、嘘がバレてしまった。
彼の表情は穏やかなものだが、その瞳はユーリを咎めるように鋭い。

ユーリは思わず後ずさろうとするが、手を掴まれているのでそれは叶わなかった。

「…それは出来ません」

取り合えず無理だと伝える。
すると、掴まれている手に力が入った。

「何故だ?」

「……」

何なんだ。この食いつきは。

さっさと解放して放置してくれればいいのに。
鳥の時は自由にしてくれたのに、人の姿に戻った途端にこの変わりよう。

いや、鳥の頃も、最近窮屈に感じることがあったが。

「私を引き留める理由は、古代兵器ですか?」

掴まれた腕を外そうと引っ張ったりしたが、当然外してくれるわけもない。

ユーリは半分諦めると立った状態で彼に問いかけた。

「ん?…あぁ、そういえばそうだったな」

さっきまでその話をしていたのに、今思い出したかのような口ぶり。

ユーリは意味がわからず首を傾げた。

いい加減、この男が何をしたいのか分からなくなってきたのだ。

「確かにあの遺跡に行った理由はそれだが、別におまえから力を借りようとは思ってない」

「はぁ…じゃぁ何ですか?」

掴まれた手をそのままに、座っているシャンクスを見下ろしている彼女。

その瞳には、生気など宿っていない。

ただ、シャンクスを見ているだけだった。











…こいつには、理解できねぇだろうな

気づかれないよう、ため息を吐くシャンクス。







まさか自分が、古代兵器に…いや機械に、心を奪われる日が来るとは思わなかった。

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