第3章 後編 王の願い 少女の想い
「はっはっは!確かに変な写真だよな?」
「つか初っ端から5億ってのも凄いのに、突っ込む所は写真かよ」
何やらクルー達は笑っているが、ユーリからすればこれが全国に散らばってるなど、出来れば思いたくなかった。
諦めたように手配書をテーブルに戻し、食事を再開したユーリ。
そもそも5億って、赤髪海賊団に所属している以上、珍しくも何もないだろう。
「そう言えば、皆さんの賞金額はいくらなんですか?」
ユーリは食事を口に運びながらふと疑問を口にした。
果たして赤髪海賊団で賞金額が公表されていた人物はいただろうか。
昔読んだ原作の記憶を辿っていると、皆それぞれ賞金額を話してくれた。
しかし話してくれたのは主に下っ端のクルー達で、幹部の人、つまりベンやヤソップ、ルウは教えてくれなかった。
というか、当人たちも知らないらしい。
「最後に俺たちの手配書見たの何時だっけ?」
「さぁ、2年前?5年前?」
「変わってなければ当時の金額のままか?」
「んなわけないだろう。頭に至っては100億っていう噂だぜ」
「え?そうなのか?」
「まぁあくまでも噂だけどな」
ヤソップとその仲間たちが話しているのを聞いていたユーリは、思わずどれだけ興味がないんだと心の中で突っ込んだ。
自分に掛けられた賞金額って普通気にするものじゃないのか?
…いや、確かに私も別にどうでもいいが。
5億という数字に対して、興味を示さなかったユーリ。
つまりは、そういうことなのだろう。
しかし100億って。
流石にそれは気にするんじゃないのかと思ったが、相手がシャンクスなので気にしないのも分からんでもない。
「そういえばシャンクスは?」
「ん?今朝早くどっか出掛けて行ったぞ。行き先は知らねぇな」
「となると、出航は?」
「あー、それなら昼過ぎって話だったな。必要な物は買えたんだろう?」
「はい。その件に関してはありがとうございます」
ユーリは食事が終わると、出航までまだ時間があると分かり、暫く街を散策することにした。
「あんまり遠くに行くなよー。煩い奴がいるからな」
そんな冗談のような言葉にユーリは苦笑すると、店を後にした。