第3章 後編 王の願い 少女の想い
ーーーー愛してるぜ、ユーリ
誰かが、私にそう言ってくれた。
まだ愛というものが分からない私に、そう伝えてくれた。
だから私も彼に返したいと思った。
崩れ行くシャンドラと共に、海へ落ちていく中で私は願い続けた。
ーーーーもし次があるならお願いします。私を、人間にしてください。そして出来るなら、彼にもう一度…
暗く冷たい海に沈んでいく身体。
最後に願ったその思いを、因縁の相手である神が汲み取ってくれたのか。
鐘が鳴る音が、聞こえた気がした。
それはただの気まぐれか、同情からか。
分からなかった。