第3章 後編 王の願い 少女の想い
「だろうな」
ユーリの言葉を聞いて、どこか納得したような、諦めたようなそんな表情を浮かべている彼。
口元に歪んだ笑みを浮かべている彼に、ユーリはゾクリと寒気を感じた。
なんだろう、何か違和感を感じる。
意味が分からないといった表情で彼の瞳を見ていると、気のせいかもしれないが僅かに悲しみの色を含んでいる気がした。
二人の間に、重い沈黙が落ちる。
「今まで女と駆け引きなんてやったことねぇし、そもそも人を愛したことがない」
まるで独り言のように言葉を発するシャンクス。
「おれは、人の愛し方が分からないんだ。悪いな」
一瞬だけ見せた悲し気な笑みに、ユーリは驚いて目を見開いた。
これは、彼が初めて見せた本心なのだろうか。
というか、初めて謝罪されたような気がする。
貴重なシャンクスの本心を述べる言葉にも関わらず、ズレた思考になり始めるユーリ。
だが、彼の言葉はちゃんとユーリの心にも届いていた。
届いていたが、考えるまでもなく再開された行為。
まるで先ほどの言葉などなかったように、荒々しく抱かれた。
ユーリは遠のいていく意識の中で、必死にシャンクスの真意を探り続けた。