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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第3章 後編 王の願い 少女の想い



「悪いが2階の部屋を借りるぞ」

ユーリの手を掴んだまま好き勝手に歩いて行くシャンクス。

店の者に一言そう告げて2階に上がっていく彼を止めるものはいない。

ユーリは意味が分からず足を踏ん張ってみるが、当然力では叶わない。

ならばと思ってベンに視線を向けるも、彼は両手を上げて首を振っていた。

恐らく先ほどのやり取りを見て、今の頭は手に負えないと判断しているのだろう。

ちょっとまて、副船長のおまえが手に負えないなら、誰が手に負えるんだ。

ユーリは絶望した表情でズルズルと引きずられていく。

沈黙のシャンクスも怖いし、掴まれてる手も微妙に痛い。

あ、シュライヤと折角握手できたのに、その感触がなくなってしまったじゃないか。

痛い程掴まれた右手。

こんな状況にも関わらず、ユーリは思わずそんな考えが頭を過った。























「で、あいつとはどういう関係だ?」


2階の部屋に押し込まれるや否や、壁に押さえつけられ見下ろされる。

捕まれた肩に痛みが走るが、冷ややかな目で見降ろされてる方が恐ろしかった。

「関係も何も、今日初めてあったんですよ」

「その割には随分と親し気に見えたが?」

冷えた声色で静かに言葉を発するシャンクス。

そんな彼にビビりながらも、ユーリは先ほどのやり取りを思い出していた。

親し気って、言葉なんてまともに交わしてない上に、勢いに任せて握手してもらっただけだぞ?

というかシャンクスの方が綺麗な人と親し気だったじゃないか。









「まさか、おまえがいなくなった10年間、あいつと過ごしていたのか?」

ユーリが反論の言葉を口にしようとした時、何故かとんでもない勘違いをされた。

この勘違いは、非常にまずい。

「それは違います」

即答で否定したが、彼の視線は疑いの色を浮かべたままだった。

「じゃぁ10年間、おまえは何をしていた?」

「う…そ、それは」

だから何でそれを今のタイミングで聞くんだ。

一瞬で飛んでしまったので答えれるはずもない。

しかもこの流れだと、シャンクスの誤解を解くのが難しくなる。

案の定言葉に詰まったユーリを見て、シャンクスはスッと目を細めた。

彼から漏れている覇気が、その怒りを露わにしていた。

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