第3章 後編 王の願い 少女の想い
近づくなって、最初に近づいてきたのは向こうでは?…あ、いや、話しかけたのは俺だから俺が悪いのか?
何とも理不尽な怒りをぶつけられた様な気がするが、相手が相手なので文句の1つも言えなかった。
しかし、赤髪の女だったとは…
どこか幼さを残し、変わった雰囲気を持つ彼女。
確かに美人の部類に入るだろうが、あの服装はどうかと思った。
ズボンにTシャツ、年頃の女性ならもっとファッションを楽しむものではないだろうか。
そうぼんやり考えていたシュライヤは、ふとあることに気が付いた。
あいつ、ファンって言ってたよな?もしそれが本当なら、俺ヤバいんじゃないか?
ユーリの言葉がどこまで本心か分からないが、手配書の話になったとき僅かに顔を赤くしていた気がした。
辿り着いた可能性にシュライヤは青ざめると、重い足取りで仲間の元へ戻っていく。
取り合えずこれ以上考えても仕方ない。
席に戻れば、当然仲間から冷やかしを受けるシュライヤ。
先ほどの赤髪とのやり取りを見ていただろうに。
シュライヤはため息を吐くと、冷やかす仲間をどついて宴を再開させる。
美しい翡翠色の瞳を持った彼女。
ファンだと言われ、満更でもない気持ちになったシュライヤだったが、その後もため息が止まらなかった。