第2章 中編 古代都市シャンドラ
黒い煙が辺りに充満する。
シャンクスはその場に膝をつき、動けなかった。
彼女を守るつもりが、己のせいで死なせてしまった。
そんな考えが頭を過り、呼吸すら上手く出来なかった。
戦意喪失しているシャンクスに近づく、1つの影。
それは、シャンクスを敵と見なしたのか、鋭い爪先を向けていた。
憐れな王だな。
ふと、脳内にそんな言葉が響いた気がした。
ガキン!!
シャンクスを貫こうとした爪先は、何者かによって止められた。
白く舞い上がる美しい髪。
金色の瞳は、真っすぐと彼を見つめていた。
「エラー処理にだいぶ時間が掛かりました。後は、腕輪のせいですかね」
そう言った彼女の右腕は、なくなっていた。
ユーリが目を覚ますと、すぐに違和感を感じた。
外から聞こえてくる凄まじい音に、彼女は慌てて向かおうとする。
だがそれも、鎖と腕輪によって阻まれた。
ユーリは腕輪と鎖を交互に見ること少し、己の腕を破壊した。
その迷いない行動は、彼女らしくないものだった。
片腕を無くせば不利なのは歴然であり、もっと別の方法があったかもしれない。
だけど、考える余裕も時間も、彼女にはなかった。
自由になったユーリはシャンクスの元へとすぐに向かう。
家は出てすぐに破壊されたが、シャンクスが無事なのを確認できたので取り合えず良しとする。
彼女の行動も何もかも全て、シャンクスを思ってのものだった。