第2章 中編 古代都市シャンドラ
世界を敵に回す前に、面倒なものを敵に回してしまった。
黒い影が近づくにつれて、改めてそう実感する。
1つ1つの大きさはかなりのもので、神と呼ばれてるわりには、禍々しい姿をしていた。
煩わしい音を発しながらこちらに向かっているのは、何か会話でもしているからか。
ーーーまぁどうでもいいか
シャンクスは軽く息を吐き出すと、力を解放する。
ユーリは負けるつもりだったかもしれないが、彼は勝つつもりだった。
勝たなければ、ユーリとの未来もシャンドラも、何もかも失うことになる。
そして彼女をこの場に連れて来なかったのは、無茶をするのが目に見えていたからだ。
ーーー死なせないさ。おまえは…
シャンクスは地を蹴って上空へと舞い上がる。
すると、彼の存在に気づいていた奴らが攻撃を仕掛けてきた。
それらをかわしながら、シャンクスは相手の出方と、実力を伺う。
ーーーこいつらを倒したら、もう怖いものなんてねぇな
向こうも様子を伺ってるのが分かると、隙をみて剣を振りかざし、斬りつける。
すると、黒い液体がシャンクスの頬を掠めた。
剣についた液体を振り払い、煩わしそうに頬を拭う。
「まずは一体」
地面に落ちていく物体を眺めて、シャンクスは口角を吊り上げた。