第2章 中編 古代都市シャンドラ
頭から煙を出してショートした彼女。
シャンクスは一瞬ギョッとしたが、壊れたわけではなさそうでとりあえず安堵する。
「…まぁ、これはこれで狙い通りか」
シャンクスは身体を起こすと彼女の身なりを整えてやる。
エラーと口走っていた彼女は、一時的に機能を停止しているのか眠っているようだった。
そっと頬にかかった髪をどかせば、どこか苦しそうな表情のユーリ。
シャンクスはそんな彼女の顔を暫く眺めていたが、意を決したようにその場から離れた。
ユーリが聞こえていた嫌な音。
それは、シャンクスにも聞こえていた。
ーーー混乱させて足止めするつもりだったが、まさかショートするとはな
先ほどの光景を思い出し、シャンクスは苦笑した。
もちろん嫉妬したのもあった。
やり取りを聞いていたとは言え、他の男が性的対象としてユーリに触れるのは面白くない。
だが、本来の狙いはユーリを争いに参加させないためだ。
ローのおかげで腕輪も嵌めれたし、ユーリを残して神とらやに対峙しにいくこともバレずにすんだ。
腕輪から伸びた鎖をベットに繋げれば、彼女はあの部屋から出てこれない。
ーーー悪いな。おまえは死ぬつもりだったみたいだが、そうはさせねぇ。
シャンクスは口元に歪んだ笑みを浮かべると、バルコニーから外に出る。
分厚い雲に覆われた空を見上げると、遥か上空に見える、黒い影。
その無数の影は、間違いなくこちらに向かっていた。