第2章 中編 古代都市シャンドラ
「機械の診断なんてしたことねぇから、あんま期待するなよ」
「それは分かってますよ。…しかし、どうしてまた急に?」
ローからされるままに大人しく身を任せていたユーリだったが、当然この状況を疑問に思う。
言い出したのはシャンクスのようだが、何の意図があるというのか。
普通の人なら分かるが、機械を診ると言ってもメンテナンスのようなものか?
それなら、一番詳しいのはユーリなのでわざわざ彼に頼む必要もない。
「…あいつは、本気でおまえのことを人として扱ってんだろ」
ユーリの身体に損傷がないか見ていたローがそう呟く。
その言葉は、ユーリの奥深くまで落ちていく。
確かに今まで人のような扱いを受けていたが、どこか半信半疑だった。
半信半疑だったのだが、ここに来て漸く彼の本気を理解した。
「…彼の病の進行はどうなんですか?」
ユーリは戸惑いながら話題を変える。
これ以上この話をしても、今は困惑するだけだった。
「相変わらずだな。良くも悪くもねぇ」
「…そうですか」
やんわりと確信から外れたような解答だったが、ユーリは彼の命がそう長くないと察した。
きっとこれ以上力を使えば、いつ死んでもおかしくないのだろう。
「死ぬときはどうなるんですか?」
診察は終わったようでユーリは服を直していく。
ローは何やら書類を見ていたようだが、ユーリの言葉に少し驚いたような表情をした。
「…それは、見た奴しにか分からねぇ」
一瞬だけ視線を向けられたが、直ぐに書類へと視線を落とす。
特に動揺しているわけではなさそうだが、この件に関してはこれ以上話す気はないのだろう。
先祖代々からこの病を研究している彼が、死ぬときにどうなるか知らないわけがない。
しかし、話す気がないのならば、無理に聞こうとは思わなかった。