第2章 中編 古代都市シャンドラ
あの後部屋に戻ると、ユーリは夕食作りを始めた。
そして食材と格闘を始めること少し、ローが二人の元を訪ねてきた。
どうやらシャンクスの定期健診の為のようで、二人ともこの場を離れ何処かへと向かう。
どうせならシェフも連れて来て欲しかった。
そう思いながらユーリは包丁を乱雑に握ると、まな板ごと食材を真っ二つにしてしまう。
これで3つ目のまな板を切ってしまった。
いっその事地面で切った方がいいのか?
下手したら大地にひびが入りそうだが、ここでするより安全な気がした。
一体どんだけ馬鹿力でやってるんだと言われそうだが、彼女だから仕方ない。
因みに、シャンクスは一度も彼女の作る料理に文句を言ったことがない。
その事実はありがたかったが、同時に申し訳なくも思った。
機械だから当然味覚なんてない。
キッチンは何時も目も当てられない状況だが、文句がないなら料理だけはまだマシだと、思っていいのだろうか。
味見が出来ないので実際はどうなのか分からないが。
ユーリはため息を吐くと、幾つかの食材を持ち切る場所を探してウロウロしていた。
「…なにしてんだ?」
暫くウロウロしていると、不意にローから声を掛けられた。
どうやら検診は終わったようで、シャンクスが彼の後に続いた。
そして荒れた台所を見て何かを察したローと、いつも通りのシャンクス。
ユーリは食材を持ったままその場に固まった。
「ユーリ、お前もローに診てもらえ。料理はおれがするから」
「え?料理出来たんですか?」
「…こいつの料理は酒をテーブルに並べて終わりだぞ」
ユーリからさも当然の様に食材を受け取ったシャンクス。
それを感心したように見ていたユーリだが、ローからの言葉により呆れた表情に変わる。
そんな彼女にシャンクスは笑っただけだった。
「…まぁいい。ほら、さっさと来い」
否定も肯定もしないシャンクスにローは何か言いたげだったが、諦めたのかユーリを促す。
ユーリは暫く2人を交互に見ていたのだが、大人しくローについて行った。