第2章 中編 古代都市シャンドラ
数日後。
「…はっはっは!そうか、そんな面白いのが見つかったのか」
ここは前国王の王室。
シャンクスは溜まっていた仕事を粗方片づけると、シャンドラを離れる前にロジャーの元を訪れた。
何だかんだで、一番まともに相談できるのは彼だった。
ロジャーは病の為、床に臥せていることが多いが、体調が悪い素振りを見せることなく元気だった。
シャンクスは近くのイスに腰を掛けると、今後のことを話していく。
ユーリを助けたい旨、次の国王の話、そして古代兵器を所有することが何を意味するのか。
国王として君臨してからまだ日が浅い。
過去最高の速さでその座を降りそうとしている事実に、シャンクスは申し訳なく思う気持ちがあった。
ロジャーも笑ってはいるがそのことについてはよく理解しているだろう。
だが、神妙な表情のシャンクスを安心させる為か、彼は豪快に笑うだけで気にするなと言った。
今更どうすることもできないことを考えても仕方ない。
幸い、ユーリはこの国に対して敵対心どころか協力者として付いていてくれているし、次の国王候補もいる。
古代兵器について、それを面白くないと思う国もいるかもしれないが、今は極力その情報を外に漏らさないように努めるしかないだろう。
「それにしても、最弱と言われていたこの国がいきなり最強になるとは、面白れぇじゃねぇか」
「まぁ、未だに彼女の力がどれ程のものか分かりませんが、恐らく他国からの侵略はある程度防げるようになるかと…」
シャンクスはどこか遠い目をしながら先日の勝負を思い出していた。
戦っている最中は余裕を見せていたが、どう見てもギリギリの戦いだった。
寧ろ勝てたのが奇跡だ。
神殺しとしての異名が本物なら、恐らく彼女はまだ本気をだしていない。
そして、今は味方だからいいが、もし敵対することになれば?
己の懐に潜り込んでいるユーリが裏切れば、一瞬にしてシャンドラは滅びるだろう。
勿論、彼女を信用していないわけではない。
だが機械である彼女の本心など、分かるはずもなかった。
シャンクス一人としての意見ならば、ユーリを信用しているので何も問題はないだろう。
だが一国の王となると、そんな簡単な話ではなかった。