第3章 大切な思い出
懐かしい夢を見た
*
子供の頃の私が海で溺れている
(苦しい…
息が出来ない
ああ、このまま死んじゃうんだ
でも、死んだら苦しいのもなくなるよね)
そう思った時、助けてくれたのは彼だった
『ゲホッゲホッ……はぁ…はぁ…』
《大丈夫?!》
『なんで…(小声)』
《え?》
『何で助けたのよ!
私は生きる意味のない人間なんだ!!
ほっといてくれたらよかったのに!
助けられたら生きる事を諦められなくなるだろ!!』
私は泣きながら叫んだ
《生きる意味ないなんて悲しいこと言わないで
こんな事言われたって気味悪く思われるかもしれないけど
前に一度、君を見かけたことがあるんだ》
『だから、何?!』
男の子が顔を赤くする
《一目惚れ…だと思う
君を守りたいって思った》
その言葉を聞いて自分の怒りが静まっていく
『何それ、意味わかんない』
《そうだよね、でも生きててくれてよかった(ニコッ》
*
目が覚めそこで夢は終わった
(懐かしい…あの笑顔に不覚にもキュンときたんだ
あんな言葉に落ちるなんて)
もう一度目を瞑る
(あの笑顔は私が絶対に守る)
そう改めて決心した