第4章 途方もない悪意
「デク君が委員長……! でも、飯田君もすごくやりたそうだったよね、眼鏡だし」
(何気にざっくり言うよねお茶子ちゃんって……)
「悔しいが……僕は君が適していると思った! だから君に入れたんだ、緑谷君」
(あ、飯田君も入れたんだ……あんなにやりたがってたのに)
先程の授業で、学級委員が決まった。 緑谷出久が学級委員長、八百万百が副委員長だ。 誰よりもやりたがっていた飯田だが、真面目さ故に緑谷に入れたらしい。
「ていうか一人称、僕……?」
「前から思ってたけど、飯田君ってもしかして…… 」
「「「坊ちゃん?」」」
緑谷,麗日,舞依の声がそろった。 飯田は肯定する。
坊ちゃんとバレたくなかった為、今まで一人称を『僕』から『俺』にしていたのだと言う。 彼の家族は全員ヒーローをしているらしく、纏めると、『超人気のヒーロー達だ』と緑谷が説明した。
「ターボヒーローインゲニウムは知っているかい? 僕の兄だ」
「インゲニウム!?!?」
飯田がそう言うと、緑谷は鼻息を荒くした。 彼はヒーローのこととなると、突然興奮しだすのだ。
(私のお父さんのことも教えちゃおうかな……)
舞依の父は、岩石系ヒーロー ハーロックである。
「あのね______」
刹那、大食堂にけたたましいサイレンが鳴り響いた。 そして機械的な声が告げる。
「セキュリティ3が突破されました。 生徒の皆さんはすみやかに避難して下さい」
それを聞いた生徒達は、バタバタと大食堂から出ていく。
「!?」
「な、何事……!?」
舞依と麗日は慌てて、お互いの手を取り合った。 緑谷は辺りを見回している。
「あの、これは一体!?」
飯田は即座に、隣にいた3年生に問う。
「セキュリティ3ってのは……校内に誰かが侵入してきたってことだよ! 3年間でこんなの、1度もない! 君達も早く!」
(侵入って一体誰が……?)