第4章 途方もない悪意
「そんなにタピオカ飲みたかったん!? 涎出すほど……!」
4人で近くのベンチに座ると、ブフォッ、と麗日が吹き出した。舞依は眉根を寄せる。そのまま勢いよく、先程買ったタピオカを吸う。 麗日は笑いすぎだ。 そこまで面白くないだろうに。
「神宮寺君、甘いものが好きなのか?」
飯田はオレンジジュースのタピオカを飲みながら問う。 麗日はまだ笑っている。
「うん。 とても好き」
「緑谷君は?」
舞依は緑谷を横目で見ながら聞いた。
「好きだなあ。 糖質を摂って筋トレしたりもするよ」
「俺も同じだ」
「……やっぱり、筋トレ時は糖質を摂るべきなのかな?」
「うん。 オール……っ、僕を鍛えてくれた人はそう言ってた! 」
「そうなんだ……今度からそうしようかな」
(オール……ってなんだろう……? オールで筋トレしたのかな……?)
舞依はタピオカを咀嚼しながら考えたが、答えは出なかった。
「そうだ。 2人はどんな筋トレをするんだ?」
2人は。 ということは、先程から笑い転げている麗日は頭数に入っていないのだろう。
「僕は……腹筋,腕立て,ディップス,スクワット……たまに逆立ち腕立て伏せとか!」
「逆立ち腕立て伏せ!? キツそう……」
「キツいよ……!!」
緑谷は自分の肩を抱いてそう言った。 余程キツかったのだろう。
「神宮寺さんは?」
「私はだいたい緑谷君と一緒。腹筋は3kgダンベル持ってするかな。 あとは重り付けてジョギングとか……水中ウォーキングとかも結構効くみたい! 夏にやってみたの!」
「すごいな……! 神宮寺君も緑谷君も頑張り屋なんだな。 俺も見習わなければ!」
飯田は胸の前で拳を握り、鼻息を荒くした。
「筋肉と言えばオールマイトだよね!」
緑谷はそう言うと、例の『ブツブツ』を始める。 飯田と舞依はやけに真剣に聞く。
「何か……会話が筋肉や!」
落ち着きを取り戻した麗日だったが、再び吹き出した。